『結婚する日は良き時代の翌日である』

 「恋は盲目」(愛の神キューピッド、すなわちキューピーは、目をパッチリ開いているが、実は盲目であるのだ)という言葉があるように、恋愛時代には見えないものが、共同生活を始めるとともに見えてくる。お互いに、相手の容姿や人柄、能力や愛情までが再吟味されてしまう。加えて現実的な生活の苦しみ、煩わしさも押し寄せてくる。『結婚して後悔しない者はいない』ということわざが真実となって迫ってくるというのである。

 「結婚は人生の墓場」という表現もあるが、標記のフランスのことわざはそれよりも美しい。独身の自由を謳歌できた良き時代が終了した翌日が結婚式の当日であり、この日から『結婚は監禁』(英語の原文“Wedlock is a padlock.” には音の遊びがある)となる。

 『神が人々をつくり、悪魔がこれを夫婦にする』とあるが、悪魔は二人を唆して絶えず夫婦喧嘩をさせる。そして、『急いで結婚するものはゆっくり後悔する』という結末になるのだ。

1.
 Le jour ou l’on se marie est le lendemain du bon temps.
2.
 Nul ne se marie qui ne s’en repente.
3.
 Dieu fait les gens et le diable les accouple
4.
 Qui se marie en hate se repent a loisir.

(志子田光雄)