『三人でも二人がいなければ秘密は守られる』1 秘密というものは、二人の間でだけのものであるならば比較的守られるものである。なぜならば、どちらかが漏らせば、漏らした当人はもちろん、もう一人もたちまち誰が漏らしたかを知ることが出来るからである。 しかし、三人の間の秘密はなかなか守ることが困難である。なぜなら、たとえばAが秘密を漏らしてBに咎められても、Cの仕業ではないかと言ってしらを切ることが出来るからであり、またどうせ他の二人のうちどちらかが漏らすであろうという不信と安心の気持が働いて漏らしてしまうことがあるからである。 したがって、三人のうち二人がいなければ(他の表現では「二人が死ねば」)、すなわち一人になれば秘密は絶対守られる、というのが標記のことわざの意味である。『二人の秘密は神の秘密、三人の秘密は万人の秘密』2、『秘密は一人には小さすぎ、二人には十分、三人には大きすぎる』3、『秘密は一人の場合は良く、二人ならなおさら良く守られるが、三人では守ることが困難、四人ならなおさら困難だ』4ということわざもあるくらいである。 ローマの哲学者セネカ曰く、「人に秘密を守って欲しければ、自分の胸にしまって置くのが一番確かだ。」 |