『らくだの背骨を折るのは最後の藁だ』¹ 藁はしばしば小さなもの、軽いもの、つまらぬものの意味に用いられるが、らくだの背中に藁を積めるだけ積んでいった場合、遂には一本の藁でも追加すれば、らくだの背骨が折れてしまうことがある、と言う意味である。すなわち、物事には限界、限度があり、一つ一つの些細なものでも度を越せば破滅を引き起こす。その限界を破るものが「最後の藁(the last straw)」である。 我々の我慢や忍耐にも限界があり、それを超えた場合にはほんの些細なことにでも爆発してしまうことがある。忍耐強い人の怒りは大きいものだが、その忍耐の限界を破ってしまう「一言多い」の「一言」もこの「最後の藁」の類であろう。 破滅の原因は最後の一小事ということで、標記のことわざは「過ぎたるはなお及ばざるが如し」に近い意味を持つ。 (志子田光雄) |