『女三人と鵞鳥一羽で市が出来る』

 日本にも『女三人寄れば姦(かしま)しい』ということわざがあるように、洋の東西を問わず女のお喋りは女性の共通の性(さが)であるらしい。 
女三人と鵞鳥一羽で喧騒を極めた市場が出現すると言うのであるが、鵞鳥が加えられたのは、その鳴き声の騒々しさと歩く姿の類似からだけではなく、鵞鳥が象徴する「愚かさ」と女性が結び付けられているのだ、と解釈する人もいる。
 
 標記のものは、イギリスのことわざであるが、イタリヤとオランダでは『女二人と鵞鳥一羽』となっているのに対し、ドイツでは『女三人と鵞鳥三羽と蛙三匹』でようやく市が出来るように表現されているのを見れば、どこの国の女性が一番お喋りか分かろうと言うものである。

同様のことわざには、『女性の舌は女性の身体のうちで最後に死ぬ器官である』、『女の舌はポプラの葉のようにいつも動いている』、『女の舌は剣であり、女はそれを決して錆びつかせない』など多々ある。

  女性の社会的進出が顕著であり、その働きがある面では男性をしのいでいる現代にあっては、このような現象が減少しており、上記のようなことわざが真実であるとは言えなくなっているようである。

1.   Three women and a goose make a market.
2.
   A woman’s tongue is the last thing about her that dies.
3.
   A woman’s tongue, like an aspen leaf, is always in motion.
4.
   Woman’s tongue is her sword, which she never lets rust.

(志子田光雄)