『芸術は長く、人生は短し』¹ 通常、芸術家の生涯は短いが、彼が残した芸術作品は不朽である、という意味に解釈される。ベートーベンも『音楽ノート』で、このことわざに反論する形であるが同様の解釈をし、「芸術は長く、生命は短いというが、長いのは生命だけで、芸術は短い。芸術の息吹が神々のところまで高められるにしても、それは我々にとってつかの間の恩恵にすぎないから」と言っている。 この出典は、ギリシャの医聖ヒポクラテス(460?-377B.C.)の「人生は短く、術は長い。機会は逃げやすく、経験は当てにならず、判断は難しい」にあり、「術」とはギリシャ語のテクネー(技術)のことで、具体的には医術のことである。「医術は深くて窮め難い、一生は短いので怠らず努めよ」という意味。エーゲ海のコス島にあった医者養成所の学生に対して諭した言葉である。 朱熹の「少年老い易く、学成り難し」に相当する。 |