『誠実な友は不死鳥のようなもの』

不死鳥フェニックスは、エジプト神話における伝説上の鳥。ただ一羽アラビアの砂漠に住み、五百年の寿命が尽きると高い木の上に香木で巣を作り、火を放って自らを焼き、その灰の中から新しい鳥となってよみがえる。

不死鳥は不滅の象徴であるので、標記のことわざを「誠実な友情は不滅」と解釈したいところであるが、通常これはそれとは全く反対に、不死鳥はただ一羽しかいない稀有けうな鳥であるということから、「誠実な友は一人ぐらいしかいない。あるいは、めったにいないものだ」という否定的な意味に解釈される。ラテン語のことわざ「真の友人はまれな鳥である」に由来する。

フランスのことわざに「友人という名ほどありふれたものはないが、これほど稀なものはない」とあるように、古来友情を高く評価するのとはうらはらに、本当の意味で友人の名に値するものは稀であると説くことわざも多い。「人には多くの友人ありと言い、心の中ではほとんど友人なしと考えるべき」という、友人のあざむきを想定し,友人不信を説くことわざもある。

1. A faithful friend is like a phoenix.
2. Amicus verus rara avis.
3. Rien de plus commun que le nom d'ami, rien de plus rare que la
chose.
4. Il faut se dire beaucoup d'amis et s'en croire peu.


(志子田光雄)