『責められる前に許しを乞うな』¹

 うっかり謝れば、相手が知らなかった自分の過ちを自ら暴露することになりかねないので気をつけるがよい、という意味。

 それとともに、(特に欧米では)相手から責められないうちに謝罪することは、自分で自分の非を認め、自分に不利を招くことになるので注意すべきである、ということをも意味する。

 外国でドライブを楽しもうとする日本人は、もし事故に巻き込まれても、決して「すみません」と言ってはならない、とよく忠告される。日本人は、自分に落ち度がそれほどなくても、すぐ相手の気持ちを忖度して「すみません」と謝るが、その一言をとらえて非を認めたと解釈され、一方的に一切の責任を押し付けられることが多いからである。

 人間関係が厳しく、自己が確立している故に他人が恐ろしい欧米社会では、たとえ責められても、軽々しく自分の非を認めることは損になるようである。英語の「アイ・アム・ソーリー」は心して言うべき言葉である。

1. Never ask pardon before you are accused.

(志子田光雄)