『雄鶏をさておいて雌鶏が鳴くべきではない』¹ 英語に「パンツ(ズボン)をはく」という表現がある。「嬶(かかあ)天下」の意味である。なぜそのような意味になるかは調べがついていないが、フランス語でも「キュロット(半ズボン)をはく」と言う。この他にも「妻のエプロンのひもにつながれる」「ぺティコート・ガヴァメント(下着支配)」などの表現があるが、「めんどりにつつかれる」ともいう。 標記のことわざは、このめんどり支配を戒めたドイツのことわざであるが、フランスでは「雌鶏が雄鶏より大きい声で歌う家は悲惨な悪い家である」²と言い切っている。 理由はさまざまあろうが、少なくとも一般に女性には仕事と(それが駄目なら)専従主婦と二つの選択肢があるのに、仕事しか選べず、しかも絶えず競争の緊張にさらされている男性にとっては、妻の支配はさらなる自信喪失を誘発する可能性が大きいからであろう。 しかし「雌鶏はコッコッと鳴かねば卵を生まぬ」³ともある。女房は口やかましいようでないと家庭はうまくゆかない。要は、夫を駄目にしないように、めんどりがどう鳴くかが問題なのである。 |