『もし68日が雨降りなら、取り入れ時も雨の前兆だとさ』¹

 これは一種の天気占いであり、イギリス18世紀中頃に記録されたことわざである。麦の取り入れを前にして、農民は毎日の天候を見ては一喜一憂する。

月に小麦を見れば泣きながら立ち去るが、月にその同じ麦を見れば別の気分で帰宅するだろう』²(イギリス17世紀中期)とあるように、乾燥する月は小麦の成長が悪くて凶作になるのではないかと怖れるが、6月に入ると小麦はぐんぐん成長し、農夫は安心して麦畑から帰宅することができる。

 それにしても、『月の穏やかな天候は麦の育ちを好調にする』³(イギリス16世紀中期)とあるように、収穫の善し悪しは月の天気次第である。長い経験から、日に雨が降れば、月の収穫時にも雨になる確率が高いというが、これは確率を述べているというよりも、農民の心配がよく滲み出ていることわざである。

1. If on the eighth of June it rain, it foretells a wet harvest men sain.
2. Look at your corn in May and you'll come weeping away, look at the same in June and you'll come home in another tune.
3. Calm weather in June sets corn in tune.

(志子田光雄)