『もし6月8日が雨降りなら、取り入れ時も雨の前兆だとさ』¹
これは一種の天気占いであり、イギリス18世紀中頃に記録されたことわざである。麦の取り入れを前にして、農民は毎日の天候を見ては一喜一憂する。 『5月に小麦を見れば泣きながら立ち去るが、6月にその同じ麦を見れば別の気分で帰宅するだろう』²(イギリス17世紀中期)とあるように、乾燥する5月は小麦の成長が悪くて凶作になるのではないかと怖れるが、6月に入ると小麦はぐんぐん成長し、農夫は安心して麦畑から帰宅することができる。 それにしても、『6月の穏やかな天候は麦の育ちを好調にする』³(イギリス16世紀中期)とあるように、収穫の善し悪しは6月の天気次第である。長い経験から、6月8日に雨が降れば、8月の収穫時にも雨になる確率が高いというが、これは確率を述べているというよりも、農民の心配がよく滲み出ていることわざである。 |