『勉強のみで遊ばぬはジャックを愚か者にする』¹ オランダの文化史学者ホイジンガは,人間を遊ぶ動物であると規定し、ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)と呼んだ。人間の人間たる所以は遊ぶことにあるというのである。 人間を動物から区別するこの遊びをせずに専ら勉強(仕事も含む)だけをしていれば、ジャック(男子の総称)をバカ、愚鈍、ダメにしてしまう、というのがこのことわざの意味である。 イギリスの伝承童謡マザーグースには、「勉強のみで遊ばぬと子供はバカ者になり、遊びのみで勉強せねば子供はほんのつまらぬ者になる」とある。 日本にもこれに相当する「よく学び、よく遊べ」がある。しかし、就学率の高さを基にして達成した日本の経済成長は、学歴社会を生み出し、偏差値偏重の傾向を招き、テスト戦争に勝つものは画一的で硬直的な教育の枠の中にはまった者だけ、という結果となってしまった感がある。そのような教育環境では、創意工夫の能力を自然に生み出させる遊びの入り込む余地は全く無い。ゆとりのある教育が叫ばれる所以である。 1. All work and no play makes Jack a dull
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