『悪貨は良貨を駆逐する』¹ 16世紀イギリスの貿易家であり、女王エリザベス一世の財務顧問官であったサー・トマス・グレシャム(1519?−79)が、貨幣の改鋳に関して女王に提出した意見書の中で、「質の悪い貨幣が流通すると、質の良い貨幣が退蔵されてしまい、悪貨だけが市場に流通するようになる」と述べたいわゆる「グレシャムの法則」が出典。 このように、これはもともと経済理論を端的に表現した言葉であったが、20世紀初頭より、ことわざとしても通用するようになった。 ことわざとして用いられると少々ニュアンスが変化し、「良貨が退蔵される」ということから「善が追いやられて隠れてしまう」という意味になり,悪が表面に出てくると善は目立たなくなり、悪人が世にはびこると善人は不遇をかこつことになる、というような意味で用いられる。 さらに敷衍(ふえん)して、悪人がいれば善人まで悪くなる、あるいは悪い交わりは良俗を乱す、という意味にも使われる。 |