『美しい羽毛は美しい鳥を作る』

 羽が美しければ鳥は美しく見えるように、人も立派な服装をしていれば立派な人物に見えるということである。「着物は人を作る」、「仕立屋は人物を作る」と同趣。 これを美しい服を着て着飾れば外見だけは立派に見えるものだ、すなわち、美しい衣装は人を実体以上に見せるものだと解釈すれば、成り上がり者などに対する皮肉や風刺となる。 
 
 しかし、とかく世間は外見で判断しがちなので服装には留意せよという意味にとれば、皮肉や風刺は消えて積極的な忠告となる。シェイクスピアの「ハムレット」に登場する廷臣ポロ‐ニアスは、息子のレアティーズに「服装は財布の許す限り立派なものを揃えるがよい、...衣装というものは往々にして着る人の人柄を表すからだ」と言う。老獪な政治家の言葉ではあるが、一半の真理はある。 
 
 それとともに、貧相な身なりの時に比べて、上等な服装の時には、おのずから精神的にも自信と余裕を持ち、立ち居振舞いに落着きが出てくるのは普段に経験するところである。
 ただし、「衣装は人柄を作らず」ともある。上記のドイツ語のことわざ「着物は人を作る」に続く言葉「しかし心が人間を作る」が意味をもってくる。

1. Fair feathers make fair fowls.
  Fine feathers make fine birds.
2. Kleider machen Leute, aber das Herz den Menschen.
3. The tailor makes the man.
4. Clothes do not make the man.

(志子田光雄)