『友達の友達は友達である』1 『友達は別の友達を連れてくる』2ものだから、友達の友達は友達だという具合に友情の輪を広げて行けば、単に数が多くなるだけでなく、多様な考えの持ち主と交際が可能になり、人生の面白みも広がって行こうというもの。そのために、友達の友達をも大切に扱って初めて本当に友達と付き合えるという意味にも解釈できる。 しかし『すべての者の友は誰の友でもない』3ということわざもあるように、無差別に友情の輪を広げるような人に、真の友情を期待することは出来ない。 シェイクスピアの『ハムレット』において、オフェリアの父ポローニアスは、息子のレアテーズがフランス留学に出発するにあたり、「人に親しむのはよいが、馴れ馴れしくするな。ひとたびこれと見極めた友達は、二度と離さぬように鋼(はがね)のたがでしっかり自分の心に縛り付けておけ。ただし、孵ったばかりの雛のような新しい仲間とだれかれかまわず握手して手の皮を厚くするな。」と忠告している。 『人には友達が沢山あると言い、心の中では友達がほとんどいないと考えるべきだ』4とあるように、友達が多いことは人の信用を得るのに有効であっても、心の中ではこれらの友達が真の友達かどうかを絶えず確かめながら付き合わなければならないのだ。そして『一人の親友は百人の親戚に勝る』5と言えるような親友を求めるべきである。 (志子田光雄) |