『良酒ツタを要せず』1 ラテン語のことわざ「良い酒には懸けられた常春藤(キヅタ)は少しも必要としない」2 に由来する。 昔ローマでは居酒屋の看板としてIVY(キヅタ)が用いられていた。ツタはギリシャ神話の酒神バッカスに捧げられた植物であり、また一説にはぶどう酒が水で薄められていてもツタはそれを分離する力があると信じられていたので、混ぜものなしのぶどう酒を売る店としてツタが看板とされていたようである。(日本では杉の枝の玉が用いられていたのは、酒樽が杉材であったからであろうか)。 この風習はヨーロッパ各地に伝えられたが、「良い酒はわら束を要らない」3(フランス)、「良酒に花輪不要」4(ドイツ)とあるように,国によってはツタのほかにわら束や花輪、あるいは松の枝などが門口につるされた。 いずれにしても、これらのことわざは、良い酒はひとりでに売れるということであり、ここから、どのようなものであれ良い品は宣伝の必要がないということを意味する。 |