『目より耳で妻を選べ』

 人類最初の女イヴの誕生の次第について、旧約聖書の創世記は、神はアダムを「深く眠らせ、眠った時に」そのあばら骨の一つをとり、その骨で女を作り、アダムのところに連れてきた、記述している。

 「深く眠らせ、眠った時に」と強調したのは、妻を選ぶ時、目の判断にとらわれないために目をつぶって決めるべきだからであると解釈する人がいる。もちろん、これは神学的解釈ではなく、一種のジョークである。

 このようジョークは別として、妻を選ぶ時にはその容色器量によるのではなく、世間、あるいは周りの評判によって決めるがよい、というのがこのことわざの忠告である。『見目より心』である。

 『妻は日曜日より土曜日に選べ』ともある。晴れ着を着ているときではなく、普段着の姿を見て選べ、ということである。

 新プラトン主義の書物を読むと、目は人間の感覚のうちで最高の器官であるとしているが、こと女性の選択に関しては、どうやら最も信頼のおけない器官であるようだ。

1. Choose a wife rather by your ear than your eye.
 Var. A wife is not to be chosen by the eye only.
2. Choose a wife on a Saturday rather than a Sunday.
 Var. If you want a neat wife, choose her on a Saturday.

(志子田光雄)