『金の卵を産む鵞鳥を殺すな』¹

 毎日一個の金の卵を産む鵞鳥を持っている男が、一度に金の卵を全部手に入れようと欲張り、鵞鳥を殺して腹を裂いてみたが何も発見できず、元も子もなくしてしまった、という有名なイソップの寓話に基づいている。

 目前の利益のみを求めて、将来にわたって享受すべき利益を失うな、との意味である。

 この寓話の原形は、どうやらエジプトの神話にあるようだ。混沌のメス鵞鳥が混沌のオス鵞鳥に向かって鳴きかけた結果、金の卵(太陽が)生まれたと言う創造神話である。

 このような宇宙的視点からこのことわざをもう一度考えてみると、開発という名のもとに自然を破壊し、高度文明維持のために資源を乱開発しながら急速に消費している人類は、本来ならば長期間永続的に人類に生命維持の資源を提供してくれる地球という鵞鳥を絞め殺し、その腹を探っている男のイメージとして浮かび上がってくるのだ。

1.   Don’t kill the goose that lays the golden egg.

(志子田光雄)