『利益による友は屋根の上の燕だ』¹

 「富は多くの新しい友を作る。
  しかし貧しい人はその友に捨てられる。
  気前のよい人にこびる者は多い。
  人はみな贈り物をする人の友となる。
  貧しい者はその兄弟すらもみなこれを憎む、
  ましてその友はこれに遠ざからないであろうか。
  言葉をかけてこれを呼んでも、 
  去って帰らないのである。」

 旧約聖書箴言第19章4―7節にあるこの言葉(口語訳)が語るように、『富は多くの友を作る』²が、しかし、利益を求めてくる友人は、得るものがなくなると、たちまち去って行く。ちょうど標記のことわざが述べているように、季節が巡り、えさとなる虫が発生すると、たちまち飛来し、少なくなると飛び去る燕のようにである。このような者は無理に呼び戻しても益はない。それだけの人間でしかないからである。

 ローマの詩人エンニウスは「窮乏の時に友を知る」と言い、同じくオビディウスは「黄金は火で試されるごとく、人は不幸において初めて友を知る」と言っている。

1.  L’ami par intelet est une hirondelle sur les toits.
2.  Wealth makes many friends.

(志子田光雄)