豊かな知識は人に強い自信を与えるとともに、他人に対して大きな影響力を及ぼす力となる。 旧約聖書箴言24章5節に「知恵ある者は強い人より強く、知識ある人は力ある人よりも強い」(口語訳)とあり、ラテン語のことわざにも『知は力なり』2とある。そのどちらかがこのことわざの出典である。 ことわざに『知識は荷物にならない』3とあるように、知識は多くても邪魔にはならない。しかし『実践を伴わない知識は無価値である』4し、さらに『徳に導かれなければ知識も愚である』5とあるように、知識だけでは危険な力となることもある。イギリス19世紀の著述家、社会改良家のサミュエル・スマイルズは『自助論』のなかで、「知識は力である。しかし知識それ自体は賢明に利用されなければ、ただ悪人をより危険なものにするだけである」と述べている通りである。 ことに現代科学の知識は人類を破滅の淵に立たせているが、それを防げるのは倫理の力である。知識は徳(倫理)とともに両輪として機能するとき、「英知」となって本来の力を発揮すると言えよう。5 |