『イギリス人の家は城』¹ このことわざは、イギリスの裁判官エドワード・コーク卿(1553−1634)の口から出たものとされているが、彼の起草になる1628年の「権利請願」以来、人権尊重、プライヴァシーが確立されてきたイギリスならではのもの。イギリスでは、いかなる人も、警官といえど、私宅にみだりに立ち入ることは許されない。『だれでも自分の家では王である』²ということわざもあるように、その家の主人は外部からの干渉を退ける権利を有し、国家、政府はその個人の権利を保護するためにこそあると言えるのである。 アメリカでも『家はその人の城』³と言う。30年程前アメリカに住んでいた時、夜半所用で懐中電灯をつけて自宅の裏庭に廻ったところ、闇の中から黒人が両手を上げて出てきて驚かされた。彼は近道のため通り抜けようとしていたらしいが、夜間一定の時刻以後無断で邸宅に侵入した者は射殺されても、法律は加害者側に有利であると言うことを後に聞いて納得した。 |