『ガラスの家に住む者は石を投げてはいけない

  ガラスは壊れやすいので,ガラス造りの家に住む者は石を投げるという愚かな行動をしてはいけない、という意味ではない。
 
 石を投げつける対象は他人である。すなわち隣人)に向かって石を投げて攻撃すればたちまち仕返しされ、相手の投げ返す石でもって自分のガラスの家はめちゃめちゃにされてしまうから、という意味である。このことわざのヴァリエーションとして「頭がガラスの者は他人に向かって石を投げるべきではない」「ガラス造りの身体の者は他人に向かって石を投げてはいけない」などあるが、いずれもガラスをもろいものとして扱っている。したがって、何か欠点あるいは悩みを持っている者は、同じような欠点や弱点のある他人を批判するならば、逆にもっとひどい批判を招く結果になる、という意味である。
 
 イギリスの十四世紀後期にすでに記録されていることわざであるが、ガラスが高価で貴重なものであった時代には、今よりもっと切実な響きを持っていたと考えられる。

 
 同趣のことわざとしては「呪いは雛鳥のようにめんどりの巣に返る」、本邦のことわざでは「人を呪わば穴二つ」に相当するであろう。

1. People who live in glass houses should never throw stones.
  Wer [selbst] im Glashaus sitzt, soll andere nicht mit Steinen werfen.
2. He that has a head of glass must not throw stones at another.
3. He that has a body made of glass must not throw stones at another.
4. Curses, like chickens, come home to roost.

(志子田光雄)