《5日目 宗谷本線》


 今日も朝を名寄駅で迎えた。今日が最終日だと思うと張り切らざるを得ないが空は暗い。
ふらふらと掲示板を見に行く。期待通り旅客列車は4本ともC55だ。
 しかし、駅ネが許されたのは蒸機がなくなるからという事情があったからだと思う。今ならいくら待合室が開いていてもホームレスなどと同じ
ように扱われ、追い出されるような気がする。
 初めて見るC55をスナップしにホームへ出る。スポークの1,750ミリ動輪はさすがに大きい。ただ機関車に輝きがない。整備が行き届かないよう
で煤けている。
 名寄

 名寄

 C55の牽く客レに乗り、宗谷本線を南下。この列車、小駅は通過する。ディーゼルとは性能差があって全部停まったら旭川まで列車によって所
要時間に違いがありすぎるからこうなっているのかも知れない。いずれにしてもC55の汽笛を聴きながらの旅は格別。
士別はこの辺の中心都市らしく駅にも跨線橋がある。乗降客も多い。
列車が和寒に着いた。ここで小休止する。補機連結と交換のためだ。汚れたDD51が停まっている。入場券を購入しながらホームで撮影。

 和寒

 DLが汚れているのはもちろん自分の煙だけではない。蒸機牽引列車の補機仕業についていればそちらのシンダもかぶるからどうしてもそうな
るのだろう。常紋で見た後補機のDE10もねずみ色になっていた。
 後部にDD51を連結した列車は塩狩峠にかかる。さすがに勾配が急だしカーブも多い。気をつけて見ると客車の前と後ろで微妙に高さに差があ
るように思える。スピードがめっきり落ちたが何とかサミットを越えた。塩狩で下車。ほかにもファンが降りた。発車を見送る。

 塩狩

 後続のディーゼルに乗り換え、さらに南下。北永山で降りる。ここで同行者と別れた。
ここと南比布との間にある鉄橋はちょっと有名な場所だ。朝晩はシルエットにできるようで雑誌で見かけたことがある。
時間は十分あるので周囲をロケハン。鉄橋を渡るだけだから煙は大して期待できない。C55の客レが目当てだしオーソドックスに。
 この旅行を思い起こしてみる。雨の日もあったがまずまずの天気に恵まれ、順調に行ったと思う。それにまわりのファンからいろんなことを学
ぶことができた。
それまでは「周遊券」の存在を知らなかった。今回はその都度切符を買っていたのだが、それがいかにわずらわしく、高上がりにつくかというと
いうことだった。また来る機会があるかどうかわからなかったが、この次は周遊券を使おうと思った。
 それに自宅に電話することもなかった。今のように携帯電話があるわけではなかったが公衆電話から連絡しようと思えばできたわけで、1週間
も音信不通となれば親が心配したことと思う。
 やがて列車の通過時刻となった。遠くからC55の汽笛が響いてくる。走りは軽やかだ。
 
 北永山−南比布

 撮影ラストは上り貨物列車。牽いてきたのは952号機。ギースルエジェクタが特徴で胆振縦貫鉄道からの買収機だ。

 北永山−南比布

 撮影は終わった。ディーゼルが旭川の構内にかかると架線がある。急行「かむい」は速かった。滝川で小休止しDC急行で岩見沢へ。構内の片
隅から煙が上がっている。今回の旅で見る最後の煙だろう。自宅まであと一日。


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