北海道へ T 《初日 室蘭本線》 津軽海峡を渡って函館へやってきた。写友と二人で計画した渡道だった。感激に浸る間もなく夜行「すずらん」のホームへ走る。当時は青森や 函館での乗車レースが当たり前だったのだ。 何とか席を確保して、旧客編成の列車が動き出す。五稜郭のまばゆい水銀灯とそれに輝く数多いポイントまで覚えているが記憶はそこまで。 東室蘭で目を覚ましたときにちょうど反対側のホームにD51が入ってきた。初めて意識して見るD51だ。 苫小牧できっぷを車内に忘れそうになりながら下車。室蘭本線のキハ22に乗り換えて追分へ向かう。ジョイントの音が重々しく、内地とは違う 印象だ。追分でD51牽引の客レに乗り継ぎ栗丘で下車。絶え間なく車が通る道を歩いて有名なオーバークロスに着いた。 知名度の高い撮影地だがファンは少なかった。自分のスペースを十分確保して撮影。 空は曇っていて風が強い。確かに列車の本数の多さが実感できる。1時間に何本も蒸機が撮れるなど会津では考えられないこと。長大編成の貨 物列車が次々にやってくる。ただ、期待していたほど煙は吐かない。D51の貨物列車の合間を縫ってC57の旅客列車が俊足を飛ばす。 本数は多いもののアングルに変化がないので栗山へ。 北海道は違う!と思わせたのは各駅の構内の広さ、というか線路有効長が長いこと。いかに編成が長いかということだ。 栗山の構内のはずれに場所を取る。午後になっても本数は多い。客レ、車扱い貨物、石炭列車がひんぱんに来る。 重量列車の発車はすごい迫力、と雑誌に載っていたが確かに石炭列車の引き出しはすごい。スピードがなかなか上がらず、目の前を通りすぎても しばらく視界からはずれない。フィルムのコマ数がどんどん増えていく。中にはD51の次位の無火回送の9600が付いた列車などもやってくる。 そうしているうちに陽が傾いてきた。一日目の撮影を切り上げ駅へ。C57が牽く岩見沢行客レに乗り込んだ。そこで列車を乗り継いで滝川の伯 母の家に泊まる。 |